度会隆輝は新人王を取れるのか? 歴代新人王の月間打率と比較してみる

 2024年のプロ野球も開幕してあっという間に一ヶ月が経過した。ペナントの行く末も気になるところだが、シーズンの注目といえば新人王を誰が獲得するかだ。

 セ・リーグの新人王候補筆頭といえば、度会隆輝(DeNA)だろう。開幕前にはオープン戦で首位打者(ルーキーでは史上2人目)を獲得。開幕戦ではプロ初安打・ホームランを放ち、さらに2戦連続ホームランと。天性のスター性を感じさせるインパクトを残した。反面、3・4月の打率は.217、OPSは.599とインパクトに反して打撃に苦しんでいる。

 また、度会の他にもオープン戦で好成績を残した、新人王有資格者(巨人佐々木、巨人萩尾、DeNA石上)が複数いるが、いずれもプロの壁にぶつかっている。

 ここで気になったのは、過去に新人王を獲得した野手はどうだったのか?度会のように開幕直後(3・4月)は苦しんでいたのか、好調だったのか。

 早速リストアップしたものを見ていこう。対象はデータが確認できる2005年以降の新人王+特別賞を加えた14名。色分けについては、.270以上の月を赤、.250以下の月を青としている。

 3・4月の打率が.250を下回っていたのは、6/14名。ただし、村上や佐藤のように打率ではなくHRで評価されている選手も含まれていることも注意したい。

 開幕直後は苦しんだものの、5月以降に成績を上げたのは青木や梵が印象的だ。特に青木は3・4月は.230でありながら、以降は一度も打率が3割を切ることがなく、8月には至っては.419と驚異的な数値を残し、新人王と合わせて最多安打首位打者まで獲得している。

 また2018年田中のように、5月まで約10試合しか出ていなかったにも関わらず、新人王を獲得したケースもある。田中は打率こそ.265と特別高くはなかったが、18本塁打・21盗塁していることも高く評価されたのだろう。

 

 当然だが、度会らが新人王を獲得するには、3・4月の不振を跳ね返すような成績が求められる。一方で新人王を獲得できそうな投手がいないことは、野手にとっては追い風だろう。実はこのネタを思いついたのは4月の終盤で、その頃は西館(巨人)の新人王が確実だろうと考えていた。しかし、その西館も2回連続救援失敗で、大きく成績を落としている。今のところ先発ローテや勝ちパターンで活躍している新人王有資格者はイないと言わざるを得ない。便利屋ポジションでなら安定している投手もいるが、記者投票である新人王では票は伸びないだろう。

 

 セ・リーグの新人王争いは誰が抜け出すのか、まったく予想できない開幕一ヶ月になった。度会ら壁にぶつかった野手陣が殻を破るのか、西館がまた開幕直後のような投球で安定感を取り戻すのか、まだ一軍に出ていない選手が割って入るのか……はたまた1975年以来の該当者無しになるのか、注目していきたいところだ。